002.「ポンテットとカチャーリー」のお話
ここは甘くてあたたかい匂いのするププリラの森。
そこにはカバのポンテットとキリンのカチャーリーが住んでいました。
ふたりはまだ出会ったことはなくて、
お互いのことは知りませんでした。
毎日、森のともだちとお話をしたり、散歩をしたりと、
ふたりは毎日の暮らしに幸せを感じていました。
そんなふたりにもそれぞれに叶えたい夢がありました。
カバのポンテットは、泳ぎが得意でとっても背が低いので
水のなかに入って自由に泳ぐことができるし、
お水をガブガブ飲むことができました。
でも、背が低いので木に実っているリンゴが食べれません。
この森のリンゴの木は上にいけばいくほど
大きくて、とっても甘い林檎が実っているそうです。
ポンテットは、地面に落ちてくるシワシワであんまり甘くない林檎しか
食べたことがありませんでした。
「もしも、口いっぱいに甘くて水々しい林檎を毎日ほおばることができたら、
今よりももっと幸せになれるのになぁ」と夢見ていました。
キリンのカチャーリーは、背が高いので
遠くの山の木まで見渡すことができるし、
木に実っている大きくてとっても甘い林檎を毎日食べることができます。
きょうもパクパクお腹いっぱい林檎を食べました。
でも、背が高くて首が長すぎるので、
お水をガブガブ飲もうとしてもお腹のなかになかなか入っていきません。
池の底のほうの水は冷たくてとってもおいしいそうです。
でもカチャーリーはいつも口のなかに入った
少しの水を飲むことしかできませんでした。
「もしも、池のなかにざぶーんと入って、
池の底の冷たくておいしい水をガブガブと思う存分飲むことができたら、
今よりももっと幸せになれるのになぁ」と夢見ていました。
おだやかに月日は流れ、
そんなふたりの夢はというと結局ずっと叶うことはありませんでした。
カバのポンテットとキリンのカチャーリーが
もしも出会うことができて、ともだちになることができたなら
お互いに協力をして、お互いの夢を叶えることができたかもしれません。
でもずっと出会えなかったのです。
そんなふたりはきょうも元気に幸せに暮らしています。
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